東京都人権啓発センター評議委員・日誌#1
東京都人権啓発センター 評議委員会の様子
評議員日誌
■■■2016年3月18日
■人権センターへの私の提案■
東京都人権啓発センター様
評議員 川元祥一
平成28年3月11日
これまでの貴団体の活動の中で印象に残るところがあります。それは〈著名人の発言〉が典型的ですが、上からものを語る、あるいは教える、そうした視線が目立つことでした。
こうした視点にも限界があります。ぼつぼつそれを改めて、当事者の視点、あるいはすべての人に関連する「生活者の視点」で人権を語る、そうした企画を重視してはどうでしようか。
人権を倫理観や教訓として語るのではなく、生活者のなかにある価値観や文化、あるいは批判的想像力として表現することで、より多くの共感に出会うと思います。
また、いろいろな企画、行事で当事者に登場してもらうことで、東京都自体が人権差別を否定し、少数者、弱者、被差別者を大切にしていることを、言葉がなくても示すことが出来る。そうした視点が大切かと思います。
具体的案として
パンフレット冊子「TOKYO人権」やシンポジュウム、トーク・ライブなどは、可能な限り当事者の文化、生活、語りなどとする。語り部や絵画、音楽活動などを呼びかける活動があってもよいのではないか。
あと一つの提案
17の人権課題の中で同和問題は、差別の原点にある差異がわかりにくいものです。そのため〈差別〉が前面に出て、マンネリ化しています。その原点が一定の〈職業〉〈社会的分業〉であったのが歴史研究でほぼ定説となっています。この職業が社会的分業としていかに大切なものか、そこにある技術とともに知らせることが心理的差別解消に必要と思います。すき焼き文化を享受し世界に誇りながら、その食肉を作る人を差別していては、世界に恥ずかしいばかりです。
同和問題では、しばらくこうしたところに重点を置いてはどうでしょうか。
以上
■実際は提言提出は口頭での提案。
議長から提言の説明要請あり。
それ以前の私の発言につづけたため、テーマは提言通りでなく、当事者の生活に視点をおいた発想が大切といった。「東京人権」の話題が出ていたことから、このパンフは商業主義の宣伝パンフにいて、それが弱点とした。このパンフだけでなくあらゆる企画で、弱者・少数者・被差別者(以下17の簸差別者)の生活に視点を置くべき。
生活の中に様々な価値観があり、被差別者は壁にぶつかる。行政は、その被差別者を決して見捨てない、常に彼らとともにあることを美しい言葉だけでなく、姿勢としてあらわすのが必要、そうした姿勢で企画を作ることが大切。
この前に、センターが移転する理由について他の評議員から質問。事務員が答えた。その中に、「交通がべんり」だから、という言葉があったので、私がそれを批判、センターが交通便のわるい橋場にあった理由も大切なことだから、「交通の便」が良いことだけに理由を絞ってはいけないと指摘。理念としての認識として。
オリンピックにあたって、世界に誇る「すき焼き文化」を取り上げ、その原料にあたる食肉生産者が差別されているのはおかしいことを自覚し、差別克服を都民に訴える機会にしよう、と提案。
食肉だけでなく、皮革として、「ランドセルはなぜ腐らない」「クローブはなぜ腐らない」などのテーマを提案。
【このテーマは、オリンピックにあたって差別があることを告発する意味ではなく、その差別は世界に向かって恥ずかしいことを都民の向かって啓発する機会とする】
19日午後七時メール
加藤事務局長さま、評議員さま
3月18日、今年度の初めての評議員会は勉強になりました。有難うございました。
私がその時提案した事項で説明不足で誤解されるかも知れないと思うところがあり、ここに簡単な説明を加えておきたいと思います。
オリンピックに向けて、東京都が行う様々な企画の中に、日本人が世界に誇る「すき焼き文化」を位置づけ、日本の伝統的食文化を世界に知らせ、あるいは食してもらう企画を創設し、その中で、すき焼き用の食肉を作る人が差別されていることを人権問題としながら解決のきっかけにしたいという提案でした。
この提案に訂正はないのですが、このような提案の場合、ややもすると、その企画で食肉生産者への差別を世界に告発するのかと、誤解されるケースがたまに見られます。そうではないことを改めて、主張したいと思ってこれを書いています。
差別を告発するのではありません。差別があるのはセンター側も評議員も、あるいは東京都人権部も承知のうえと思います。それが不明であるなら改めてに内部で学習しましょう。
そうしたレベルを超えたものとして、オリンピックを機会に、伝統的食文化を世界に紹介しながら、都民に向かって、その差別が恥ずかしいものなのを知らせることが私の提案の目的です。これを機会に差別解消まで持ち込める機械ではないか。そうした気持ちがあります。その目的を明確にするのが、今日の、この説明です。
「ランドセルはなぜ腐らない」で提案した目的も同じです。
以上。この説明が、言わずもがな、であるのを願いつつ。
川元祥一
■評議委員会メンバー
秋山正明・公認会計士
江上千恵子・弁護士
川元祥一・作家、評論家
北村泰三・中央大学法科大学院教授
後藤千恵・NHK放送総局解説委員室解説委員
舛本直文・首都大学東京オープンユニバーシティ特任教授
■■■2016年11月8日
■東京都人権プラザが台東区の場所から港区芝二丁目に移転が決まっていた。したがって人権啓発センターもそこに移転する。台東区のプラザとセンターは差別糾弾も含め、解放運動との関連で出来た。この歴史を無視してはならない。
「場所移っても、同和対策協議会の設立にいたる精神は引き継がれますね」と確認。東京都との関係があるとして、あいまいな答え。
都の人権部は、新しい場において、「言葉では退屈なのでデジタル化する」発言。
私は、退屈かどうかは、展示物の精神で決まる。言葉でもデジタルでも良いものは良いという考えが必要と主張。
■■■2017年3月--港区芝の人権啓発センターでの会議―ここを本館という
■以下、平成29年度事業計画及び平成29年度予算の基本方針 (案)の抜粋
「なお、東京都は、平成2 9年2月に、人権啓発の拠点とする東京都人権プラザを港区芝へ転?オープンし(移転先プラザを以下「本館」という。)、旧東京都人権プラザ(以下「分館」という。)にも平成29年度末までは一定の機能を残すとしているところから、平成2 9年度について、東京都人権ブラザは2館体制をとることとなる。このような中で、当センターは本館.分館両方の指定管理者として、変化にも対応しながら、事業を実施する予算編成を行う。」
上の線のところ、30年度は0ゼロになるのかと問う。東京都の人権政策・人権センター発祥の地を0にしてはいけない、とただすと、東京都側は、30年度以降は検討中、と答える。検討する場に私を参加させてくれ、と意見を述べる。
旧館の歴史について都はいかにも後ろ向きな印象つづいている。
■新しい場にあっても、台東区の人権センターが出来たいきさつは、解放同盟・被差別者の闘いの結果であるのを示すことが大切。センターのホームページの精神をそこで生かすべき。
このことは、部落だけを大切にすることではなく、どんな課題であっても、闘うことがたいせつであり、そのことで行政や人々がそれを認めるきっかけになる、そのことを示すためである。
被差別当事者の歴史を隠し、無視することで新しいタブーを作ってはならない。これは全ての人権課題に通じるものだ。
■「身体障害者差別解消法」が生まれる過程で「私の話を聞かずに私のことを決めないでください」という言葉が大きな力となった。これは全ての被差別者に通じている精神である。
17の人権課題は大切であるが、それらを平均化することで、個々の闘いの価値や歴史を無視してはならない。
■■■2017年6月12日
(1)審議事項
第1号議案平成28年度事業報告及び決算の承認について
(2)報告事項
?その他
事業報告と決算の報告であるが、決算の詳細に比べて事業報告がものたりなかった。
事業報告には「人権に関する相談」というのがあるが、相談項目と数字がしらされるだけで、相談の中身は知らされなかった。中身を知ることで、今の東京でどんなことが人権問題として相談されているのか、知ることが出来る。事実を知っていろいろ考えることが必要と思う。典型的な事例を評議委員会に知らせてほしいと提案した。石川理事著は前向きだった。